ロゼ社5世代目オリビエ社長に訊く、2026年ドリームベッド社との提携45周年を迎える「リーン・ロゼ」の現在

1860年創業という長い歴史を誇り、インテリアブランド「Ligne Roset(リーン・ロゼ)」を展開するロゼ社。主力製品のソファをはじめ、テーブルやチェア、キャビネット類のすべてに息づく洗練されたデザインとスタイリッシュな佇まい、最高峰のクオリティは世界中の高感度なユーザーたちから愛され続けている。

そのロゼ社と日本の家具メーカー「ドリームベッド社」とのパートナーシップが45周年を迎えるにあたり、フランス本社からOlivier Roset(オリビエ・ロゼ)社長が来日。短い滞在にも関わらずスケジュールの合間を縫ってインタビューに応じてくれたのだ。

東京・港区の直営ショップ「リーン・ロゼ東京」に迎えてくれた、スマートかつエネルギッシュという第一印象の若き経営者オリビエ・ロゼ氏は、ロゼ社の創業から5世代目としてファミリービジネスを継承する立場であり、第一に「開発・製造、製品コンセプト、広告やコミュニケーション、流通のすべてにおいて最高レベルのクオリティを維持すること」を大切にしているという。

これは実父であり、ロゼホールディングスを率いるミッシェル・ロゼ社長が担う、「Creation(創作・商品開発)」「Communication(ブランド告知、広告、コミュニケーション)」「Commerce(営業・販売)」という「3つのC」であり、ブランドのDNAに刻まれたロゼ家のモットー(家訓)と捉えてよいだろう。

「もうひとつ大切なのが、リーン・ロゼが脈々と続けるデザイナーたちとの緊密な協力体制です。彼らのデザインによって創造性が生まれブランドが創られる。そして、 “オールウレタン技術”といった製品化に向けたチャレンジで品質的にも技術的にも磨かれていったのです」

ブランド創世記のデザイナー、ミッシェル・デュカロワが手掛けた、リーン・ロゼのアイコンとも呼ばれる「ロゼトーゴ」(左)と女性デザイナーのアニー・イエロイムスらしい繊細さが見られる「ロゼサンドラ」(右)。発売から約半世紀を経た現在でも色褪せない魅力を湛えたロングセラーである。

ロングセラーの「ロゼトーゴ」を生み出したミッシェル・デュカロワや「ロゼサンドラ」を手掛けたアニー・イエロイムスといった、ブランド創成期を支えたデザイナーの重要性を認めるオリビエ氏は、父親であるミッシェル氏と協力しながらコレクション開発に取り組む一方、パリのESCP経営大学院でマネジメントを修め、投資ファンドを経て現職に就いただけに企業経営についても冷静に分析する。

「グローバル市場でのシェア拡大も大切です。祖父の代(1981年)に結ばれたドリームベッド社とのパートナーシップは、魅力的な日本市場へ進出するためにも重要だったし、ロゼジャパンが誕生して日本独自のアイディアやオリジナル製品が生まれたことは、ロゼ社にとっても大きな成功事例なのです」

ローカル市場の重要性を理解しているロゼ社とはいえ、製品の輸出・卸販売ではなくライセンス生産を含む緊密なパートナーシップ契約を結んでいるのは、世界でも日本のドリームベッドだけなのだ。

【ロゼ社取締役社長 Oliver Roset オリビエ・ロゼ】1980年9月生まれ、仏リヨン出身。ESCP-EPAビジネススクール・パリでマネジメントを修め、NATIXIS Private Equity にて投資マネージャーを務め、2008年3月にロゼグループに入社。現在は仕事に傾注しているとのことだが、社内チームでツール・ド・フランスに出場するほどアクティブ。日本のクルマとバイクが大好きで、「鈴鹿8耐」はリアルタイムで視聴したとのこと。

「10年以上前になりますが、ドリームベッド社の渡辺博之さん(元社長・故人)と小出克己さん(前社長・現相談役)とのディナーがとても嬉しかった。まだまだ若輩者だった私ともビジネス面だけでなく、さまざまな対話を重ねて良好な関係を築いてもらえました。その後もこちらの想いを理解してもらえたからこそ、リーン・ロゼ初の直営ショップ(現在6拠点)や日本オリジナルの商品が実現したのです」

ロゼ社、ドリームベッド社ともに先々代から脈々と続く人間関係に育まれたパートナーシップは、今も両社のビジネスを成功に導いているようだ。

デザインコンセプトは帆船のセイルが風を受けているイメージという、1981年発表のロングセラーソファ「ロゼブリガンタン」。ロゼ社とドリームベッド社との提携45周年を記念したモデルは、テキスタイルデザイナー西山景子氏とのコラボファブリックを使用したソファとなる。

「今回、提携45周年記念モデルを発表した“ロゼブリガンタン”は、本国では生産を終了していますが日本ではいまだに人気があります。カスタマーを優先に考えても、日本オリジナルのテキスタイルとのコラボ作品ができるのは嬉しいですね。日本のデザインやライフスタイル、ポップカルチャーは世界的にも高評価だから、みんな日本に来たいのですよ!」

Photo:小林俊樹 Toshiki Kobayashi

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