1971
312PB
それまで5リッター・スポーツカーで競われていた世界スポーツカー選手権だったが、実質的にはポルシェ917とフェラーリ512Sだけのレースとなってしまった。その状況を打破すべくCSIは数多くのメーカーが参加できるように1970年6月のル・マンが終わった時点で、1972年シーズンから3リッター・スポーツ・プロトタイプ・マシーンにタイトルを掛けることを発表する。その新規定に対応してフェラーリが1971年に送り出したのが312PBである。余談だがフェラーリ側の正式名称は312Pだが、’68年に製作された312Pと区別するため、本誌およびファンの間では312PBと呼んでいる。
この312PB、当時のグランプリ・マシーンだった312Bのパワーユニットを基本に、耐久性を高めたものを搭載する。シャシーは伝統のチューブラー・フレームにアルミ・パネルを組み合わせたセミ・モノコック構造とされ、サスペンションもF1マシーン譲りの構造だった。1971年の開幕戦から熟成のため参戦してゆき、この年は翌年をにらんだ開発の時期と割り切っていた。しかし312PBは着実に戦闘力を高め、BOAC500kmでは総合2位に入りその実力のほどを見せる。そして1972年シーズンは開幕戦から圧倒的強さを見せ付け、10戦すべてを制しマニュファクチャラーズ・タイトルをマラネロに持ち帰った。
翌1973年シーズンにも挑んだが、低迷するF1に全力を集中すると発表し、この年をもってスポーツカー・レースから撤退した。
●全長×全幅×全高:----×----×----mm
●ホイールベース:2220mm
●車輌重量:665kg(乾燥)
●エンジン型式:水冷180°V型12気筒DOHC 4バルブ
●総排気量:2991.8cc
●最高出力:450bhp/11,000r.p.m.
●変速機:5段M/T+Rev.
●生産台数:8
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